かかし釣具店

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ABU506の分解手順

ABU506(打刻ズレで判別困難ですがロット№087200?のもの)を分解する手順です。

『1986 ABU Garcia SERVICE Spare part catalogue』の記載を参考に、各部品については見た目の形状(#部品番号/部品名)で表記しています。

工具はラジオペンチ、ピンセット、ドライバー、モンキーレンチと普通にホームセンターで購入できるもので作業できます。

添付した各写真は撮り忘れなどで再撮影したものもありますので全て一連の流れで撮影したものではありません。

 

 

【1-1:フロントカップ周りの取外し】

1:外側のカップ(#6826-G/Bell cover)をガイドに従って回して外します。

2:内側のカップ(#5722/Winding-cup)を回して外します。逆ネジなので注意。

3:スプール(#6753/Spool)を回してガイドに従って取り外します。

 

【1-2:内側カップの分解】

1:薄い金属の枠みたいなもの(#6713/Spring for line pick-up ejector)をたわませて掛かっている爪から取り外します。

薄いので指を切らないことと部品を変形させてしまわないように注意。

2:ピンの部品組の黒い樹脂の部品を、バネ側に少し押してから引き上げるようにして取り外します。

ピンの部品組は黒い樹脂の部品(#6710/Line pick-up ejector)、ピン部分先端の金属カバー(#6711/Pick-up pin)、バネ(#6717/Spring for pick-up pin)の3点で構成されています。

3:内側カップのリリースボタン部品組(以下RB部品組)の軸後端についている小さなeリング(#6720/Locking washer)を取り外します。

この時にeリング下のバネ(#6836/Button release shaft spring) を縮めながら行うと外しやすいですが、eリング、バネ共に外れた瞬間に飛びやすいので袋内で作業する等の注意が必要。

4:RB部品組から内側カップ本体(#5722/Winding-cup)を引き抜いて外します。

5:黒い樹脂のイボ付き?ドーナツ型の部品(#6837/Distance bridge)はRB部品組に乗っている状態なのでそのまま取り外します。

6:大き目のeリング(#6841/Locking washer)を取り外します。

7:穴がいくつも開いている金属の円盤(#6716/Pressure washer)を軸から引き抜いて外します。

8:薄くて少し反っている金属のワッシャ(#6834/Spring washer)を軸から引き抜いて外します。

このワッシャは潰れて平らになっていることがありますが、ラインリリースボタンのぐらつきを抑えるテンションになるため少し反っているのが正常です。

9:黒い指で押すカップ部分(#6833/Line release button)を軸から引き抜いて外します。

残りがRB部品組の軸(#6832/Button release shaft)だけになり内側カップの分解はこれで終了です。

 

【2:本体のフロントカップ側部品を取り外す】

1:本体右側面のネジ(#6825/Side plate screw)を回して緩めてからプレート(#9038/Side plate)を外します。

プレートのネジ穴にはネジが切ってあるのでネジも回して取り外すことが出来ます。

※パーツクリーナーを吹き付けてプレートを洗浄する場合、貼られているデカールの接着が流れて剥がれてしまいやすいので、パーツクリーナーを染み込ませた布等で拭く程度に止めた方がよいです。

2:スプールを前後させていた部品(#6840/Spool socket)の二本の脚の先端にそれぞれeリング(#3909/Locking washer)が付いているので取り外します。

eリングをドライバー等でコジて外す場合に脚が刺さっている白い樹脂部品(#5680/Guiding sled)に傷をつけやすいこと、またeリングが飛んでしまうことがあるので注意。

3:スプールを前後させていた部品を引き抜いて外します。

4:金属の太い軸の下に入っている二つツメがある金属ワッシャ(#6742/Locking plate)が折り曲げられているか延ばされているか確認します。

金属ワッシャが曲げてある場合は過去に完全分解はされたことがないかも?

金属ワッシャが曲げてあるようなら軸が取り外せないので隙間をコジて周囲に傷をつけないよう慎重に伸ばします。

5:4のワッシャが伸びているなら金属の太い軸(#6743/Hub)の下端を工具で掴んで回して取り外します。

販売時には専用工具が付属していたようですがレンチでも外すことが出来ます。

6:5で太い軸を引き抜く際に併せて中のギヤが付いた軸(#9066/Cog wheel shaft)も一緒に抜いて外します。

ギヤが付いた軸からはギヤの所に嵌まったeリング(#6763/Locking washer)も取り外せますが、目視でeリングの取り付け歪み等の不具合がなければ特に外す必要はないです。

白い樹脂部品もギヤの側面に乗っているだけの状態なので取り外します。

 

【3:本体からハンドル部品を取り外す】

1:ハンドル軸の先端についているノブ(#6813/Syncro drag adjuster)を回して取り外します。

ノブが外れる際に嵌めてあるバネ(#9022/Coil spring)とワッシャ(#9091/Spring washer)も併せて外れます。ノブはドラグ設定の加減方向シールのマイナス側に回していれば外れます。

※本体内部のギヤ類はこのノブの締め付けで止まっているだけなので、ノブを取り外すと反対側へゴソッと抜け落ちる場合もあるので注意。

2:金属のカバー(#9062/Dust shield with syncro slide)とハンドル(#9060/Handle)を一緒に軸から抜いて外します。

ハンドルはノブがカシメ止めなのでノブ交換等の分解は容易には出来ません。

3:金属ワッシャ2枚(#9011/Bearing washer)の間にベアリング(#9015/Ball bearing)が入ったサンドイッチ状態の部品を軸から抜いて外します。

金属ワッシャは片面に一周溝があるので、溝がある面がベアリング側になります(分解歴のある場合に表裏逆などで入っているケースがある)。

 

【4-1:本体からギヤ類を取り外す】

1:3の1の注意の通り、内部ギヤ類はハンドル軸先端のノブの締め付けで止まっているだけなので、ハンドル部品関係を取り外せば本体(#9059/Housing)から一括で引き抜くことが出来ます。

ただ、引き抜く際に逆転防止のストッパー(#5579/Ratchet)は本体内の別の小さな軸に取り付けられているので引っ掛かって抜け難い場合もあります。

また、ギヤ軸はハンドル付け根の内側に嵌まっている金属の太目な筒(#9014/Distance tube)の中を通っていますが、この金属筒外周に汚れが入り込む等して抜き難い場合もあります(この筒はハンドル側、本体内部側何れ方向にも抜くことが出来ます)。

なお、上記の金属筒と本体の間には、もう1本金属の筒(#5552/Oilite bushing)が取り外せる様子で分解図に示されていますが、過去に分解した個体が中古品しかないためか固着していて抜けたことがありません…新品未使用品なら抜けるのか?

 

【4-2:本体からギヤ類を順に抜き取っての分解】

※4-1の金属筒、ストッパーも付いた状態でギヤ類が一括で引き抜けた場合であれば、挟んでいる金属板からストッパーを取り外す他は、全て軸に通っている状態なので順に抜き取っていけばギヤ類を分解することが出来ます。

ここではギヤ類が本体に嵌まった状態でハンドル側を下面にして一点ずつ順番に分解していく場合で説明します。

1:最前面のハンドル軸が付いた円盤型部品(#9055/Driving shaft)を引き抜きます。

2:大きなギヤ(#9057/Main gear with click spring)を取り外します。

ギヤ内周には樹脂の細いワッシャ(#9063/Friction washer)が嵌まっており、このワッシャは取り外すことが出来ますがグリス類で貼り付いていることが多く、無理に外そうとすると割れる怖れがあるので注意。

3:手裏剣?のような形の大きな樹脂ワッシャ(#9008/Drag washer)を取り外します。

この大きな樹脂ワッシャはオイル類や水分が浸透して大きなギヤや次の金属製の円盤型部品に張り付いていることが多く、張り付いている場合は剥がす際に破損しないように注意が必要。

また、ドラグの効き具合を左右する部品なので油類の浸透が酷い場合は脱脂するなどして調整が必要です。

4:金属製の円盤型部品(#9009/Driving washer)を取り外します。

広い面側がドラグワッシャ側になり、面に腐食が起きている場合はドラグの効き具合に影響するので研磨等して整える必要があります。

5:突起が6つある金属製の円形部品(#9010/Ratchet washer)を取り外します。

この時に嘴形のストッパー(#5579/Ratchet)がこの部品を挟んでいるので併せて取り外します。

この部品2点で逆転を止めているのでストッパーが円形部品を挟んでいないと逆転時に滑ってしまいますが、挟むのが強すぎるとハンドルを回すときに抵抗になるので嘴の開き加減の調整に注意。

6:金属製のワッシャ(#9011/Bearing washer)を取り外します。

この金属ワッシャはハンドル軸の所に入っていたベアリングワッシャと同一のもので片面に一周溝が入っています。

分解図では溝の入っている面が手前側になっていますが、ハンドル軸側の穴とほぼ同径なので穴側に向けた方が良いように思います。

7:ハンドルの軸穴に入っている金属の太目な筒(#9014/Distance tube)を抜き取ります。

8:以上で全ての部品が本体(#9059/Housing)から取り外された分解状態になります。